この想いが届かなくても、君だけを好きでいさせて。

「里穂、ごめん。いろんなこと言っちゃったからびっくりした?」
「そうかも。私、頭の回転速くないからただいま処理中」


『びっくりした』なんて言葉では片付けられないけれど、そう返すしかなかった。

告白の返事はともかくとして、病気のことはなんと言ったらいいんだろう。

なにもかも知ってしまっただろう彼に適当なことは言えない。


「ちょっと疲れて……。眠っていい?」
「うん、もちろん。明日また来るね。それじゃあ」


立ちあがると、稔の手が不意に伸びてきて私の腕をつかんだ。


「里穂……」
「どうしたの?」
「明日も必ず来て」


すっかり弱気になっているけど、その気持ちがよくわかる。

暗い夜はただでさえ寂しさを感じさせる。

自分の余命に気づいた稔の夜は、もっと闇が深いに違いない。


「うん。なにか買ってくる。ゼリーがいいかな?」


そう尋ねると彼は首を振る。


「里穂が来てくれればそれでいい」