この想いが届かなくても、君だけを好きでいさせて。

俊介にもお礼を言って家に帰ろうとすると「一緒に行く」とついてくる。
十歩も歩けば我が家の玄関なのに。

チャイムを鳴らすとすぐに母が飛び出してきた。

俊介のお母さんが連絡を入れてくれたようで、母は深刻そうに眉をひそめて私を迎え入れてくれる。


「おばさん、少しお邪魔していいですか? 里穂、ちょっと興奮気味で……」


俊介が思いがけないことを言うので驚いた。

だけど、ありがたいひと言だった。
今、ひとりになるのは怖くてたまらない。


「もちろんよ。さあ、どうぞ」


私たちはそのまま二階の私の部屋に向かった。

私がベッドを背もたれにして座ると、彼も隣にドサッと座る。
これは小さな頃から決まった定位置だ。


「俊介、本当にありがとう。俊介がいなかったら……」


そんなことを口にしながら、稔が倒れた瞬間を思い出してしまい、歯がガタガタと音を立てる。

なんでこんなことに……。