この想いが届かなくても、君だけを好きでいさせて。

「そうですよ。きっと頑張りすぎて疲れが出たんです。そのうちケロッと治ります」


俊介も私に続いた。

しかし……処置室のドアがおもむろに開き、医師が出てきたかと思うと「ここでは治療できません。大学病院に転院します」と思いがけないことを口にする。

そんなにひどいってこと?

ショックで腰が抜けそうになったものの、俊介が支えてくれた。


痙攣は止まった稔と、涙を流し続けるお母さんが救急車に再び乗り込んだことまでは覚えている。

でも、ショックのあまり気を失ったらしく、それからはなにも覚えていない。
気がつくと、ベッドに寝かされていた。


「里穂」


俊介が心配そうに顔を覗き込む。


「稔!」


ガバッと起き上がると、彼は私を抱きしめ優しい手つきで髪を撫でる。


「落ち着け。稔は大学病院に運ばれた。いくつか検査をするそうだ」
「行かなくちゃ!」
「今行っても会えないよ。おじさんが駆けつけてるはずだから、大丈夫」