この想いが届かなくても、君だけを好きでいさせて。

だけど……。

——ドタン!

ベッドから起き上がった瞬間、稔が目の前で倒れてしまった。
そして、がたがたと痙攣しだしたので、声も出ない。

な、なに? なにが起こってるの?

こんな経験初めてで、体が硬直する。


「里穂。救急車!」
「えっ……」
「スマホ持ってるだろ」
「あっ」


震える手で私がスマホを操作している間に、俊介は部屋のドアを開け「おばさん!」と叫んでいる。

なんとか【一一九】のボタンを押しつながったものの、動転して頭が真っ白。


『——消防ですか? 救急ですか?』
「あ、あああのっ……」
「里穂、貸せ」


焦りすぎて言葉が出てこない私を見かねた俊介が、代わりに電話に出て住所と状況を伝えた。


「稔? どうしたの? 稔、起きて!」


うつ伏せで倒れたまま動かない稔の肩に手を置き声をかけても反応はない。

二階に上がってきたおばさんは、稔の姿を見つけて目を丸くした。