この想いが届かなくても、君だけを好きでいさせて。

思いがけない発言に驚いていると、彼は続ける。


「里穂に看病させたいわけじゃないんだ。でももしかしたらこの先、頼ってしまうかもしれない。だから元気なときに里穂がしたいことをしたい。病気の俺と付き合うなんて、大きな決断をしてくれた里穂にお礼がしたい」

「稔……」


そんなふうに思っていたんだ。

ただでさえ苦しい中、私のことで悩まなくてもいいのに。


「看病が苦だなんて思ったこともないし、これからもない。私は稔のそばにいられて幸せだよ」


それは本音だった。

彼のつらさにゆがむ顔を見ていると、私も泣きそうになる。

だからといって会いたくないと思ったことはないし、できればその苦しみのほんの少しでも背負うことができたら……と思っている。

それはきっと、俊介も同じ。


「稔と付き合うことにしたら、ちょっと病気だっただけ。でも、稔が元気ならデートもしたいな」