第2レース。


ピストルの合図で第一走者が走り出す。


不安なところもあったがバトンを落とすことなく、ギリギリ1位でゴールした。


よかった。とりあえず本戦には行ける。


無論、2年4組、3年1組も本戦に勝ち上がって来た。


あとはもう、勝つしかない。


七瀬もハラハラとした様子で見守る。


本戦。先ほどと同じようにピストルの合図がなる。


さっきのレースと違ったのはどのクラスも速いこと。


そして、第3走者と第4走者の間でバトンを落としてしまったことだ。


1位でバトンが回って来たさっきと違って今度は5位で渡された。


でも、さっきより俺と裕樹の間のバトンはとても綺麗に回った。


そのとき、


「頑張ってっ!」


七瀬の声が聞こえた。


いつでも、俺の欲しい言葉をくれるな、七瀬は。


トラック半周の間に3人を抜かし、あと1人。


2年4組のやつだ。


全力で走り抜ける。


2年4組とゴールラインを過ぎたのはほぼ同時だった。


これで、勝敗が決まる。


ふと、七瀬の方を見ると、両手を握り目を瞑っていた。


放送を待つ。


『審議の結果がでました。


選抜リレー1位、3年7組』


勝った…?


その時、俺にクラスの奴らがたくさん飛びついて来た。


「伊織すげぇよ!!見直した!!」


裕樹は興奮気味にそう言うといたずらに笑った。