「真野くん出ようか」



「はーい」



真野くんと私は仮眠室を出て、椅子に座ってお茶を飲む。



「真野くんは恋菜のどこが好きなの?」


「ん?可愛くて、優しくて、頑張り屋さんだけど時々空回りしちゃうところ。あと、ツンデレ」


「真野くんって案外ちゃんと女の子のこと見てるんだね」


「案外って何!?」


「伊織にも見習って欲しいぐらいだよ」


湯のみを右手の指で撫でながら茶柱に息を吹く。



「伊織は七瀬ちゃんのことはよく見てるよ?」


「私だけじゃダメだよ。なんのためにここに来たかわからないじゃん?」


「俺には伊織が女の子を克服しようとしてるようには見えないけどねー?」



真野くんはふざけたようにチャラチャラとした笑みを浮かべながらお茶を飲む。


この人はいつも語尾に音符がつきそうだね。


モテるの何となくわかるよ。




いつもと同じのんびりとした朝がすぎていく────