「恋菜!放送室行って来て!

放送部とはプリントの交流でほとんど済むように段取りしてあるから。

そのあとは放送で準備テントに体育委員呼んでもらって!」


「わかった!行ってきます!!」



すれ違いざまに七瀬が佐倉さんに声をかける。



「あ、真野くん!クラス委員との段取りお願いしていい?備品の運搬が思いのほか押してて。


もうみんな集まってると思うの!」


「りょーかい!そっちは頼んだ」



今年は生徒会への立候補者がいなくて、そのまま引き継がれてしまったから4人しかいない。


だから、準備がいつもより手間がかかってしまう。


逆にここまで何の滞りもなく進んでいたことの方がおかしいんだよ。


「伊織、そのダンボールはこっち」


「あ、はい」


急にオフモードになった七瀬。


周りを見るとグラウンドには誰もいない。


七瀬はフゥッとため息をつくとしゃがみこんだ。


「きつ…」


「大丈夫?」


「んー、まだ本調子じゃない…。

備品の箱にお茶2本入れてあるの。1本くれない?」



俺の持っていた箱を開けると障害物競走で使うタスキやリレーのバトンと一緒にお茶が2本入っていた。


そのうちの1本を取り出して七瀬に渡す。


「ん。ありがとう。もう1本は伊織が飲んでいいから。私のおごり」


「あ、さんきゅ」