「俺が…何したっていうんだよ…」


暑苦しい空気に呑まれ、セミの声にかき消された声は誰にも拾われることなく、燃え尽きないまま心の中にとどまった。




それから、朝、迎えに来てくれることもなく、


帰りは毎日断られて。


毎年手伝ってもらっていた宿題も自分1人でこなすことになった。


わからないことだらけだ。


数学の問題も、英語の文法も、古典の形容詞の意味だって。


七瀬が考えてることも、何もわからない。


夏休みの間、休みなく行われた会議で、毎日顔を合わせるのに、その感情は読み取れなくて。


メールの返信も、電話をかけても無視。


次第に無視されることが辛くなって来て、連絡を入れるのをやめた。



たまに連絡が来たと思うと、桃矢からのメールだったり、菜月からの電話だったり。


期待ハズレばっかりだった。


高3の夏休み。


俺の夏は砕け散った。



ほとんど会話もなく、夏休みが過ぎていった。


話してくれないのだ。


七瀬はいつも、いつもいつも、俺には話してくれないから。



だからもう、追いかけて欲しくないだけかもしれない。



七瀬がきっと、幼なじみという面倒見役に飽きてしまったんだろう。



俺のことを、煩わしく思っているんだろう。







だから、俺も七瀬を追いかけるのをやめにした。