「今から沸かすでもいいかな?」



「沸かしてくれるの?」



私をキラキラした目で見あげる。


これされたらもう沸かすしかないか。



「ななちゃーん、恋菜の分も沸かしてほしいー!」



身振り素振りが異常なまでに可愛い。


これは私でも惚れちゃうかも。


男の子が恋菜に告白する気も凄くわかる。



「はーい」



私はお茶を沸かすために給湯室に入る。


この学校。


私立なんだけどよく分からない設備が整っている。


校内も噂では広めの公立の5倍はあるらしい。


3年間この学校にいたけど、まだ全部の教室を見ていない。


理由は面倒だったからなんだけどね。



「七瀬、こっち来てー」


ソファの上からアホみたいな声が聞こえてくる。


もう、ほんとに世話がかかるなぁ。


給湯室からでて、伊織の寝ているソファに近づく。



「どうしたの?伊織」


「別にー」


「わっ」


伊織はソファから起きあがって、私を抱きしめた。



「伊織ー?何してんの?ここ学校だよ?」


「そんなの分かってるよー…」



伊織的には頑張ったことを褒めて、甘えさせろってことらしいんだけど。


そういう目で訴えて来るんだけど。



「だめー可愛くない、離れなさい。伊織のお茶沸かしてるんだよー?」



伊織を無理やり引きはがすと、給湯室に戻った。