すると、いじけていた俺に桃矢が満面の笑みを浮かべた。



「いいじゃん、むさ苦しい夏があったってさ!」



そういうと、桃矢は6時半駅前集合とだけ言って、それから会議が再開された。



1時間たらずで会議は終わって七瀬と2人で帰った。



「七瀬、なんで祭り行ってくれないの?」


「だって、幼なじみってバレちゃうじゃん。


私、女の子に妬まれたくないもん。伊織案外モテるんだから」



隣を歩く七瀬はそう言った。



そう。


入学以来、これを言われ続けて、2人で出かけようと行っても断られ続けた。



だから去年の祭りも、その前の年の祭りも断られていた。




せっかく、七瀬の横を取り戻したのに。


七瀬を独占してるのに。


なのに七瀬は俺に独占されてくれない。


こんなにも好きなのに、伝わらない。


俺は七瀬だけを見てて、七瀬はいろんな子を分け隔てなく見てる。


それが七瀬のいいところだってことも、わかってる。


けど、やっぱり。


特別に思ってほしい。


俺だけを見てほしい。


俺の気持ちに気付いてほしい…。



「七瀬」


「ん?何ー?」



可愛い顔して振り返る七瀬。