「…七瀬怖い」


「うっさいよ?ちゃんとしてないの伊織でしょ?」


「…んー、だってわかんないんだもん」



もんってなんだ、もんって。


可愛すぎか。



って、そうじゃなくて。



「でも勉強しなきゃ、単位取れないでしょ。


早く座って」



「はぁい」


目をこすりながら、席に着くのを見届けて、私はその正面に座る。


「ん。片っ端から全部教えて行くから、ちゃんと聞いてね?」


「ん。わかったー」


本当にわかってるのかどうかは不明だけど全部説明して行く。


山を貼ったところだけ重点的にして、他はさらっと流して。


すると私の頑張りがいがあったのか、伊織の特に苦手な2教科。


古典と英語の要点を押さえることができたっぽい。


実際、点数が取れるかどうかは伊織にかかっているけど、まぁ気持ちはマシだと思う。



夜の8時。


既にこんな時間になってしまって、伊織も私が作った料理に大満足のご様子。



「んー、疲れた」


「おつかれ、今日はもう勉強しなくていいよ」


「やった。ありがと七瀬」


「ん、どういたしまして」



伊織は疲れたのか床に寝転がって目を瞑った。


仕方ないからタオルケット掛けてあげる。


甘やかしすぎかな。



「七瀬今日泊まってく?」


「んー、いいよ」


「でも、明日も来てくれるんでしょ?」


「誰がそんなこと言った?」


伊織は明日も私に頼ってくれる気満々らしい。