そう言ってトコトコと台所に来ると、何を作っているのかを把握して、目をキラキラさせる。



「唐揚げだぁ…」


「食欲ある?」


「めっちゃある」


俺は安心して、唐揚げ作りを再開する。


「油跳ねるから座っときな」


「うん。…伊織料理できないのかと思ってた」


「俺の家のゴミ箱にカップ麺とか見たことないでしょ?」


「…たしかに」


納得したのか七瀬はそれだけ呟いてソファに座ってテレビをみ始めた。


揚げ物が終わると、七瀬はそれに気づいたのか、パタパタと走って来て、後ろからくっついて来る。



「七瀬?」


「…理沙ちゃんだけずるいもん」


そう言って抱きつく腕に力を入れる七瀬。


可愛いなぁもう。


七瀬のデレがやばい。


いつもはツンツンって訳でもないけど。


「…伊織、今日は泊まっていくでしょ?」


不安げに俺の背中に口をくっつけたまま喋る七瀬はほとんど何を言っているかわからないけど。


「うん。泊まる。七瀬が満足いくまで、いつまででも。


でも、服だけ取りに行く」


「…ん、ありがと」


「七瀬、ご飯食べる?」


「食べる」


そう言って、キッチンを出て椅子に着席。


うん、可愛い。