「会長はほっといて勉強しよう?


恋菜、古典でわからないところがあるからななちゃんに聞こうと思ってたの」


「ん?なにがわかんないの?」


「ここで使う『ぬ』ってなにかわかる?」



そう言って一時は脱線していた勉強会も、伊織をほって楽しく進む。


伊織以外は一応真面目だから、とても有意義な時間を過ごすことができる。


ほんとにありがたい。


なにせ、私の苦手な日本史は真野くんが得意としてくれているので毎回聞かせていただいている。


ほんとに感謝。


真野くんありがとう。


恋菜にこれからも手を出さず、健全な恋愛をしてくれれば私はなにも文句は言いません。


ありがとう。


そうして、順調に勉強は進み、最終下校の時間になった。



「んぁ…、おはよう…」


「あ、伊織おはよう。今から帰るよ?」


「お、タイミングいい感じかな?」


「そだね、帰ろうか」



生徒会室の戸締りをして、鍵を職員室に戻すと、家まで伊織とのんびり帰る。



「七瀬、今日はどんな話ししてたの?」


「ん?古典の『ぬ』の話で盛り上がったよ?」


「…そんなで盛り上がれるの?」


「うん。みんな頭いいから」



当てつけのように言ってみると、伊織はふーんとでも言うような顔をして、カバンを持ち直す。