「ねぇ、伊織。さっきの子が幼なじみ?」


「あぁ、そうだよ」


家の中に菜月を入れてぼーっとソファでスマホを触る。


菜月は床にペタッと座って、俺を見ている。


幼なじみを肯定しちゃったけど、実際は俺の彼女なんだけど。


「ご飯、作るね」


「あー、うん」


七瀬、なんで帰っちゃったんだろ。


菜月がいたから?


でも、七瀬が菜月に気使う義理ないだろうし。


わかんない。


今から七瀬来てくれたりしないかな。


俺はふらふらと立ち上がって風呂に向かう。


あー、お湯張ってない。


七瀬は何よりも先にやってくれるのに…。


まぁいいや、今から張ろう。


10分ぐらい経ったらお風呂の準備ができるはず。


その間をうとうとして、過ごした。


10分経ったら、お風呂の準備ができた音が聞こえて。



「風呂入ってくるわ」


「うん」



スマホを机の上に置いて、風呂に入る。


シャワーの音が俺の耳に響く。


ああもう、わかんない。


なんで帰るんだよ。


菜月と2人でいてもいいってことかよ。


もう…わかんないよ…。



「…七瀬」



風呂を出ると、ご飯が並んでいた。


ん?スマホがなくなってる?



「菜月、俺のスマホ触ったか?」


「ん?伊織くんのスマホ?触ってないよ」