私は、外の景色を眺めながらどんどん流れる涙をお兄ちゃんに見られないようにする。



「伊織は断れないだろうから、私がひいてきたの。


…伊織は追いかけてきてもくれないし、それから連絡くれない」


「七瀬、俺は七瀬を泣かすやつなんかと付き合って欲しくない。


辛い思いさせるような奴に七瀬は任せられない」


「…」


「でも、そんな奴でも七瀬が好きな人なんだろ?


もう話し合うしかねぇだろ。とりあえず風邪治せ。話はそれからだ」


「…お兄ちゃん、伊織は私より菜月ちゃんが好きなのかな?」


「は?」


「追いかけてきてくれなかった、止めてもくれなかったし、連絡もくれない」


「七瀬、落ち着け。今は…」


「無理だよ、落ち着けない。…私、伊織がいないと無理だもん」



涙と一緒に流れ出てしまう私の気持ち。


好きなんだもん。無理だよ。いないと無理。



「七瀬、とりあえず寝ろ。泣いたら体温上がるぞ。


お茶飲んで寝なさい」


「…うん」


結局、車に乗ったまま寝てしまった。