「あ?でも今日は…」


「伊織、私帰るね」


「え、ちょ、七瀬?」



私は伊織に背中を向けて歩き出す。


伊織は優しいから、断れないもんね。


私なんかいちゃダメじゃん。


家の中に入って鍵を締める。


そのまま私はベッドに倒れこんだ。


タイミング、悪いよ。


今日じゃなかったらもうちょっと、落ち着けてたかもしれないのに。


涙が一筋流れる。


結局、子どもだ。


夜に、沙耶さんに会えなくて泣いてる理沙ちゃんと一緒だ。


知ってた。


伊織は断るの苦手だから、今頃イチャイチャご飯でも食べてるんだろう。


私は、どうしよう。


もう、何もしたくないな。


そう思いつつも、お風呂には入らなくちゃ、と思い立って、ぼーっとお風呂に入ってそのまま寝た。


朝起きたら5時だった。


スマホを見ると、お兄ちゃんからのメール、一件だけが届いていた。


伊織は私なんか構ってる暇ないのか。


お兄ちゃんのメールを開くと、


『夜の間に男の子2人無事産まれました。


朝、理沙迎えに来てほしいな』



時間はまだ4時。


今から外に出たってくらいし、どこも開いていない。


私はベッドから起き上がって、キッチンに立った。