「そんなの、知らない…っ」



他の男のことを考えて顔を赤くする七瀬にイライラが山になる。



「七瀬」



俺は名前を呼ぶと、愛しい人をベッドに押し倒した。


「い、おり?」


「裕樹のこと考えるの禁止。ずっと俺だけ考えてて」



今日一日、思っていたことを勢いに任せて全部ぶちまける。


「七瀬が他の男に触るのやだ。裕樹と楽しく踊ってるのも見たくない。


裕樹の弟、顔真っ赤にして七瀬のこと見てるし。全部気に入らない」


「でもそれは伊織が女の子に触れないからで…」


「…わかってるよ、だから今は我慢する。


その代わり、ダンスパーティーの後、覚悟しとけよ」



七瀬はさらに顔を真っ赤にさせて、手で隠そうとする。


その七瀬の両手を押さえ込むと、七瀬は顔を逸らした。


「七瀬」


「っ、わかったから…っ、見ないで…」


恥ずかしそうにそう言うと、七瀬は体をよじる。


「七瀬、暴れないで。キス、しちゃうよ?」



そう言うと、七瀬の体がピタッと止まる。


よく考えると、ブカブカのジャージを着てる七瀬もなかなかいい。


可愛い。


袖で手が隠れてるあたり本当に可愛い。