「…幸せにしろよ?じゃなきゃ俺が全力で奪いに行く。


あと、」



そういうと、裕樹は満面の笑みで立ち上がった。



「七瀬ってやっぱいい匂いするよね。昔より体も女っぽくなってるし。


胸、成長してる。


最後に抱きしめた頃よりも全然おっきいもん。


まぁ?中学離れてたやつにはわかんないだろうけど〜。


それと、七瀬のファーストキスは俺が奪っといたから」


語尾にハートがつきそうなほどの憎たらしい笑顔でこう言い放った。



「はぁ!?おまっ…」


「まぁ、せいぜい嫌われないように頑張って〜」



裕樹はひらひらと手を振って保健室を出て行った。



「あの、やろっ」


なかなかでかい声で叫ぶ。



「ん…」



やば。七瀬起こしちゃったかな…。


振り返ると、七瀬ムクリと起き上がって目をこすっていた。


泣いたからか、少し目が腫れている。


「伊織…」


「ん?どうした?」


「裕樹は…?」



今の俺には禁句の言葉を放つ。


七瀬は知らないから仕方ない。


そう、仕方ない。



「出てったよ。七瀬のファーストは俺のとか言って」



イライラが募る。


七瀬は顔を真っ赤にして顔を手で覆う。