「んー、そっか。じゃあなーちゃんに返してくる!」


「ん。いい子」


するとまた理沙ちゃんはぱたぱたと走ってきて、七瀬にもさおを渡す。


「もふちゃん。なーちゃんの」


「ありがとう。もふかわいいでしょ?いつでも会いにおいで?」


「うん!」



いつもは俺しかいないんですけど。


ねぇ、七瀬。ここ俺の家。


そんなことを言えるはずもなく。



「私たち帰るね。今日は理沙の相手してくれてありがとう」


「いえいえこちらこそ。伊織の面倒見てくれて、ありがとうございます」


「なーちゃんまた遊ぼうね!」


「うん。また遊ぼう。今度は私も遊びに行くね」


「いーちゃんも!一緒に遊ぼう!」


「あぁ。そうだね」



玄関でお別れの挨拶をしていると、北斗さんは寂しくなったのか、泣き始めた。


「七瀬ぇ。俺帰らないぃ」


「帰って」


「うっ、七瀬辛辣…」


「理沙ちゃん、パパは遊んでくれないから、なーちゃんの方が好き〜って言ってたけど」


「俺家で理沙と一緒に遊ぶ予定あるから帰るわ」


「ん。今日はありがとう。またね」


「あぁ、狼には気をつけろよ」


そう言って、南兄の家族は帰って行った。