「いい子いい子、それ頭の下に引いて、こっちはおでこに貼ってあげて。


それと、それ終わったら、ご飯作って」


「わかった！俺いってくるっ！」


そう言うと、嵐のように消えて行った。



「沙耶さんは、結婚したことも後悔してるんですか？」



沙耶さんは驚いた顔をすると、ふんわり微笑んだ。



「そんな訳ないじゃない。

ただ、あんなに一生懸命で、優しくて、周りのことを思ってる人が私の隣を選んだのが不思議でね。


それに、あの人に私の初めて、あげられなかったのが後悔。元彼多いからね私」


「そうなんですか。色々、あるんですね」


「うん。大人になるといろいろあるのよ。


…七瀬ちゃん大事にしてあげてね。すぐストレス溜めちゃうから」


「知ってますよ。何年、幼なじみしてきたと思ってるんですか」


「ふふっ、そうよね。私より長いものね」


「そうですよ。七瀬がしっかり者で可愛いことも沙耶さんより知ってるつもりです」


「そうなの。じゃあ、七瀬ちゃんが本当は甘えたで、中学の頃は1人で留守番もできなかったの、知ってる？」


「…詳しく教えてください」



こうして俺は、熱が出ていることも忘れて沙耶さんと1時間は話し込んだ。