七瀬は脱出を諦めたのか、腕の中でくるりと回って精一杯離れようとする。


しれっと顔を赤らめて涙目になっている七瀬はほんとにそそる。


「七瀬その顔やばい」


「っ…、伊織の、せいだもん」



離れようとする七瀬を抱きしめる。


次第に七瀬は離れようとする力を入れなくなった。


そして、七瀬も抱きしめてくれる。


「い、伊織…」


「ん？なーに？」


「…好き」


「〜っ、不意打ち…」



ボソッと呟いた七瀬の言葉に過剰な反応をしてしまう。


もう、七瀬が可愛くて仕方ない。


愛おしすぎて生きていけない。



「伊織も恥ずかしいことするじゃん」



身体を離した七瀬はもうとっくのとうに落ち着いたというような澄ました顔をしていて。


伏し目がちに俺を見上げた。


そんな可愛い七瀬にもっと意地悪したくなる。



「もう一回、してあげよっか？」



ニヤリと笑いながらそう言うと七瀬は耳まで真っ赤になりどんどん体温が上がっていく。


俺の腰に巻きつけていた手を自分の顔に移して顔を全力で隠す。


なんだろ。ほんとに可愛い。


俺のものになった七瀬の頭を優しく撫でる。