【短】Wonderful Moment

そう言って、彼は何でもない事のように私へと手を差し伸べる。


ちょっと、待って?
なんなのこの急展開?!
頭が全然ついていかない!!


あわあわしてる私に、もう一度くすりと笑って、彼はこう言う。


「新田さんのことだから、お礼しないととか考えてくれてたりする?」

「えっ!?な、なんで?!」

「だから、しーっ、だって。ほんと怒られちゃうよ?」


ついつい大きくなってしまう私の声を、彼の大きな手がそっと塞いだ。

それだけで、カァーっと頬が熱くなる。


一体全体どうなってんの?!
クールな彼はどこに行って、どうしちゃったの?!


頭が疑問だらけでくらくらした。
そんな私になんてお構いなしに、楽しそうな彼。


こんな彼は出逢ってから一度も見たことがない!!