お参りの行列に並んでいる間に黒牛を撫でた。

 みんな無事に二年生になれるといいな。

 順番が来て、三人並んでお賽銭を入れてお願い事をした。

 僕が目を開けたら、高志はまだ何かを祈っていた。

 ずいぶん熱心だな。

 高志らしくもない。

 お参りが終わって、甘酒をもらいにいった。

「あけましておめでとうございます」

「三人ですか」

「はい、お願いします」

 おじさん達から凛が紙コップに入った甘酒を受け取って僕と高志に回してくれた。

 一口だけふくんだ高志が舌を出す。

「熱いな」

「ふうふうしてやるよ」

 凛が高志のを冷ましてやっている。

 僕は二人のやりとりを楽しく見ていた。

 仲が良くていいな。

 甘酒のせいか心が温かくなってきた。

 飲み終わってから、僕らは境内の隅に移動して立ち話をした。

「お参りずいぶん熱心だったね。赤点脱出でもお祈りしたのか」

 僕が尋ねると高志が首を振った。

「凛を大事にしますって一生懸命神様に誓ったんだ」

 正直すぎるだろ、高志。

「あんたさ、それ、人に言っちゃったらかなわないんじゃないの」

 やべえ、と頭をかく高志の背中を凛が押す。

「高志ってホント馬鹿だよね。罰としてタコヤキとヤキソバと、あとね、綿あめ今すぐ買ってきな」

 凛がマフラーを放すと高志がボールを追う忠犬のように駆け出す。

「カレシっていうより、パシリじゃん」

 買い物を待つ間、僕らは空いたブランコに座って話をしていた。

「風邪治って良かったね」と凛がつぶやいた。

「ああ、ちょっと長かったね」

「ずっと連絡もないから心配したんだよ」

「返信できなくてごめんね」

「高級メロンとお取り寄せプリンを持ってお見舞いに行こうかと思ってた」

 来る気ゼロじゃんか。