……え?

 僕は誰と話をしているんだろう。

 僕は一人なのに。

 このぬくもりは何なんだろう。

 涙だ。

 涙が止まらないんだ。

 目からあふれてくる涙のあたたかさが、さっきまで何かに触れて感じていたぬくもりと同じだった。

 でも、僕にはそれがなんだったのかは分からなかった。

 風に吹かれて涙が冷えて乾いていく。

 こんなとき、何て言うんだっけ。

 ……何も思い出せない。

 ああ、そうだ。

 僕は暗くなっていく冬至の空に向かって、そっとつぶやいた。

「もう、恋なんてしない」