翌朝、線路沿いの道を歩いてるところで、凛の靴音が聞こえてきた。
僕は少し歩く速度をゆるめた。
というよりも、元々凛が来るのを待っていたから相当ゆっくり歩いていたんだけども、それをさらにゆるめたから、かなり不自然な歩き方だった。
歩行者用踏切の警報が鳴る。
靴音が聞こえなくなる。
線路側に振り向くと凛がいない。そんなはずはない。
あの聞き慣れた靴音を間違えるはずがない。
後ろにいたはずだ。
「朋樹、こっちだよ」
凛は反対側に立っていたのだった。
なんだ、そっちか。
こんなくだらないことで動揺している自分にびっくりだった。
「朝からハズレだね」
「驚いたよ。凛まで幽霊になったかと思ったよ」
「両手に幽霊だね」
何のことわざだよ。
「二人の幽霊をもてあそぶモテモテ男の話」
「できれば人間にしてください」
「一人の彼女もできる前から二股とか贅沢するなよ」
凛が鞄で僕の背中を叩く。
そっちこそそういうことは高志にしてやれよ。
僕は高志の代わりじゃないぞ。
まあ、今はできないから僕にしているんだろうけどね。
福岡空港行きの電車が僕らの横を通過していく。
今日も遅刻はしなくて済みそうだ。
僕は少し歩く速度をゆるめた。
というよりも、元々凛が来るのを待っていたから相当ゆっくり歩いていたんだけども、それをさらにゆるめたから、かなり不自然な歩き方だった。
歩行者用踏切の警報が鳴る。
靴音が聞こえなくなる。
線路側に振り向くと凛がいない。そんなはずはない。
あの聞き慣れた靴音を間違えるはずがない。
後ろにいたはずだ。
「朋樹、こっちだよ」
凛は反対側に立っていたのだった。
なんだ、そっちか。
こんなくだらないことで動揺している自分にびっくりだった。
「朝からハズレだね」
「驚いたよ。凛まで幽霊になったかと思ったよ」
「両手に幽霊だね」
何のことわざだよ。
「二人の幽霊をもてあそぶモテモテ男の話」
「できれば人間にしてください」
「一人の彼女もできる前から二股とか贅沢するなよ」
凛が鞄で僕の背中を叩く。
そっちこそそういうことは高志にしてやれよ。
僕は高志の代わりじゃないぞ。
まあ、今はできないから僕にしているんだろうけどね。
福岡空港行きの電車が僕らの横を通過していく。
今日も遅刻はしなくて済みそうだ。