一



 テスト明けの部活は一段と身が入る。

 答案が全て返ってくるまでは気が重くて仕方ないけれど、それでもいっちゃんが教科ごとにポイントを絞って教えてくれたから赤点は回避できたと思う。

 それをいっちゃんに報告したら、良かったねって言ってくれた。

 今日は買い出し当番の日ということで竹千代くんは来ていない。

 白木氏は真希波似の新見(にいみ)先輩に可愛がられていた。

「ねぇ白木氏。これってどうやるの?」
「これはですなぁ……」

 自身のタブレットPCを使って白木氏が新見先輩に教えているのは、表計算ソフトの使い方だ。

 新見先輩は会計係なのだけれど、これまでは全部アナログで活動費の管理をしていたので、

「さすがパソコン部。もう電卓使わなくて済むよ。めっちゃ時短ー!」

 感激している。

 聞こえてくる会話から、そのソフトは正確に速く計算できるだけでなく、記入ミスが見つかったり数値の変更があった場合に速やかに対応できる(該当箇所を訂正ないし修正すれば全体に反映される)、といったスグレモノということがわかった。

 使い慣れている人からしたら当たり前の話ではあるが、私や新見先輩のようなパソコン初心者にとっては大発見で。

 デジタル化により先輩の負担が減ったのは言うまでもなく、部全体としても助かる話である。