ガラッ!
「来んの遅せぇし、ここまで来たなら入れよバカ」
仁が俺に気づいて席を立ち、俺の目の前にあったドアを勢いよく開ける。
「仁……」
俺には、目の前にいる奴の名を呼ぶことしか出来なかった。
「んな不安そうな顔してんじゃねぇよ。
ほら、入った入った」
手を掴んで、仁は無理矢理俺を教室に引き入れる。
教室に足を踏み入れた瞬間に吐くと思ったのに、何故か吐き気は襲ってこなかった。
…………仁がいるからだろうか。
「三上!!やっと、来てくれたか」
5時間目は去年と今年と続けて俺の担任だった奴の授業だったらしく、教卓の後ろに立っていた担任は、俺を見て柔らかく微笑んだ。
「……こんちわ」
ずっと休んでたのに引け目があって気まずかった俺は目を逸らして、小さな声で挨拶した。



