『頑張って告白したんだろ? だったら波風が立つのが当たり前なのに、それを、さも聞かなかったみたいな態度とられるのは……まぁ、俺だったら嫌だって話』
『恋愛じゃなくても、〝これからなにがあっても味方だよ〟とかたまに聞くけど。そんな約束するヤツっておかしいんじゃないかってずっと思ってた。なにがあっても変わらない関係なんかあるわけないだろって』
あれは、松浦さんの意見であって私を傷つけようとして言ったわけじゃない。
なのに私が過剰反応しちゃっただけだ。
〝なにがあっても変わらない関係なんておかしい〟っていうのは、私だって同意見だし、〝頑張ってした告白をなかったみたいに扱われるのは嫌〟っていうのだって……正直に白状すれば、私だってそうだ。
ただ、同じ職場だから、なかったことみたいにして関係を荒立てないのが建前上、正しいっていうだけで。
なのに私は、カッときて八つ当たりみたいに〝松浦さんにはわからない〟なんて態度悪く言ってしまった。
松浦さんがどんなひとだろうと、例え、嫌な性格だろうと、八つ当たりしていい理由にも、謝らなくていい理由にもならない。
だから……私が悪いし、謝らないと。
十九時を過ぎた空には、いくつもの星が浮かんでいた。かろうじで知っているオリオン座を探していると、自分の息が空気を白く染めては消えていく。
社員用出入り口のドアから、十メートルほど離れた場所にある大理石調のベンチは外気と同じくらいに冷えていて、腰を下ろしてすぐはあまりの冷たさに身体がぶるっと震えたほどだ。



