オオカミ御曹司、渇愛至上主義につき



好きでもなんでもない女にここまで熱意を注げられるのはある意味すごいと感心すらしてしまいそうだ。

駅まで伸びる道路を行きかう車のヘッドライトが眩しい。
広い道の方が安全だから毎日この道を通るけれど、すれ違う人を避けながら歩かなければならなかったり、トラックの走行音がうるさかったり、疲れているとなかなか精神的にくるものがある。

今日みたいに心に余裕がない日は特に。

はぁ、とため息をついていると、隣を歩く松浦さんが呆れたように笑った。

「友里ちゃん、相当ストレスたまってる? この間も滅入ってたし。あんまり仕事がきついようなら、部長に相談してみたほうがいいよ。
真面目な子ほど追いつめられちゃうし、友里ちゃんはあんまり弱音とか吐けなそうだし、本当の限界まで行く前に立ち止まったほうがいい」

こういうアドバイスも、私と友達になるためなんだろうか、と考えながら首を振る。

「仕事はそこまで……いえ、まぁ、そこそこの仕事量あるからいっぱいいっぱいですけど。でも、私よりも加賀谷さんの方が大変ですし」

部署で抱えている仕事や、私個人が持っている仕事を思い起こしながら話していると、今日の出来事がポンッと浮かんでくるから、松浦さんをじっと睨むように見る。

「おかしな雑用的な仕事まで回ってくるから、ただでさえ大変なのに、今日は企画事業部の金子さんがきて対応に時間とられちゃうし」