「私、これまでは欲しがってばかりだったんですけど。松浦さんには与えたいって思いが強くて。……まぁ、そんな感じです」
結構、胸のうちをさらしてしまった気がして、途中で恥ずかしくなり適当に誤魔化す。
そんな私を工藤さんが「へぇ?」と笑みを浮かべ眺めていたとき。
「俺の彼女をいじめないでくれるとありがたいんですけど」
突如声が降ってきて、上を見れば松浦さんが真上から私を見下ろしていた。
「友里ちゃん、これ」
隣の椅子を引いた松浦さんが、アイスのコーンのような形状の小ぶりなワッフルを手渡してくる。いちごやマンゴーに生クリームがごそっとのっている下にはカスタードが見えた。
園内に季節限定で出ているワゴンで販売している商品だ。たしか、パンフレットにも載っていて、行列ができるほど人気だと書かれていた。
「買ってきてくれたんですか?」
驚きながら受け取ると、松浦さんは「たまたま見かけて、友里ちゃんが好きそうだと思ったから」と笑顔で答える。
片手には炭酸飲料の入った透明なカップが持たれていた。
「女性社員と回ってたって聞きましたけど」
工藤さんの問いかけに、「ああ」と松浦さんは苦笑いをこぼした。
「途中で断りました。約束した子がいるからって」
「なんだ。篠原の言う通り本当にそこそこきちんとしてるのね」
「あれ。友里ちゃん、俺の話してたの?」と嬉しそうに聞いてくる松浦さんに「してません」と冷たく返しながらワッフルをひと口食べる。
ふわふわとしながらもしっかりとした生地に、カスタードがよく合っている。フルーツも彩だけじゃなく、全体的な甘さを酸味で引き締めていて、そのバランスに人気商品だけあるなぁと感心した。



