不思議そうに問われ、考える。
加賀谷さんを好きだったときは、尾崎さんにもやきもちを焼いていたわけだし、性格的に恋愛に対して冷めているだとか独占欲がないだとかいうことはないんだろう。
けれどそれは、加賀谷さんがこっちを向いてはくれないって知っていたからだ。松浦さんは私のほうを向いてくれているわけだし、状況が違う。
もしかしたら私は、自分で思っている以上に松浦さんの気持ちを信頼しきってしまっているのかもしれないなと考え、自嘲するように笑みをこぼした。
あんな、括りつけておかなければいつどこに飛んでいくかもわからない風船みたいなひとをここまで信用してしまったら、きっと裏切られたとき相当ツラい思いをするだろうなと思ったからだ。
……でも。
『信じてあげてもいいですよ』
『で、裏切ってもいいです』
あの時に出た言葉は本心だった。
手に入れた途端に興味を失う松浦さんが、手に入れて尚、必死になって追いかけてきてくれたなら、その一時だけでも私を想ってくれたなら、それでいいと思った。
恋愛に関しては、案外激情型なのかなと自分自身に驚く。
「今は、松浦さんの気持ちを信用しているのであまりやきもちはないです。ああ見えて、結構きちんとしている人だと思うので」
工藤さんは「ああ、まぁそうよね」となにかに納得したように答える。
「今は付き合いだして半年とかだもん。まだまだお互いに夢中か」
「夢中……」
その言葉は受け入れられずに、苦笑いをもらす。



