「いてくれてよかった……」

本音をこぼした俺を、友里ちゃんがじっと見る。

「おとした女には、もう興味がないんでしょ?」

さっきも聞かれた言葉に、今度こそきちんと答える。

「ないよ。でも、友里ちゃんは違う」
「そんな言葉、信じると思いますか?」

すぐにそう返してきた友里ちゃんは、苦笑いを浮かべて俺を見る。
それは彼女の言う通りで、すべては俺が過去にしてきた恋愛ゲームのせいだっていうことは痛いくらいにわかっていた。

今度のこれは嘘じゃないと自分自身では納得できるけれど、友里ちゃんは無理だろう。

今まで散々騙してゲームしてきた俺を、今度だけは違うんだと言われたところで信じてくれるとは思えない。逆の立場だったら俺だって絶対に信用しない。

それでも。

「それでも、信じてほしい」

諦めたくなかった。
どうしたら信じてもらえるかもわからないし、こんなことを願うのは無責任なのかもしれない。けれど、手離したくないのは本心だ。

きっと情けない顔をしているんだろう。
もう一度「信じてほしい」と告げた俺を、友里ちゃんは目を見開いて見つめ……それから、ふっと笑った。

「信じてあげてもいいですよ」
「え……」
「で、裏切ってもいいです」
「……裏切る?」

信じてくれるという友里ちゃんに喜びそうになって……でも、最後の言葉が引っ掛かり、それを止めた。

「惚れた弱味ってやつです」と自嘲するみたいに笑った友里ちゃんが続ける。