――じゃあ、俺は?

誤解させたまま放っておくつもりはない。けれど、俺の恋愛観を知っている彼女が、簡単に俺の釈明を信じてくれるとも思えない。

そもそも、今追いかけて事実を話したところでどうなる?
付き合えたとして……それから?

いつか彼女の一番じゃなくなり、捨てられる日がくるだけじゃないのか。
いつか俺の存在自体に、彼女からバツがつけられるだけじゃないのか。

この期に及んで怖気づき身構えるなか思い出されるのは、いつかの友里ちゃんの言葉だった。

『〝一番〟じゃなくなったあと、どうやって気持ちを立て直したらいいのかがわからないから、ゲームみたいな恋愛ばかり繰り返してるってことでしょう?』

そのとおりだった。だって、一番以外に自分に価値が見出せない。

ずっと、〝一番〟であることで、いい成績を残すことで自分を満たし形成しバランスをとってきたのに、今さらそれをなくされたらどうしていいかわからない。

順位が見えない曖昧な恋愛のなかでは、〝選ばれること〟が唯一の結果だった。
だからその結果を積み重ねた。気づいたら、そうすることでしか満たされなくなっていたから。

だったら、今彼女を追いかけたところで……と、そこまで考えたところでベッドから足を下ろす。

無駄だ。
友里ちゃんに気持ちを伝えたところで、いつか彼女は心変わりしてしまうかもしれないし、そうなったとき俺はどうすればいいのかわからない。バランスのとり方を知らない。

追いかけないことが、かしこい選択だと、正しい、二重マルがもらえる回答だと脳が警告する。

――けれど。