『だって、私のことターゲットにするって言ったのに、だからまずは私と友達になるって言ったくせに、なんで……っ』

あんな可愛く不貞腐れる彼女を前にしたら、もうどうでもよくなってしまった。

〝ゲームだったはずなのに〟
〝そもそも俺が本気で誰かを想うなんてできるのか〟
〝ただの気の迷いなんじゃないのか〟

友里ちゃんに会わなかった九日間、散々考えて、でも答えが見つからなかった。
そんな難題どれもが、彼女を前にしたらどこかへ飛んでいた。

もう、なんでもいい。
――俺はこの子が愛しくて堪らない。

組み敷かれたままじっとしている友里ちゃんは、頬を赤く染めながら、睨むように俺を見た。

涙の浮かんだ瞳がキラキラと輝いて見えた。薄暗い部屋に光る瞳がとても綺麗で思わず見とれる。

「松浦さんは、いつも自分のことばかりで……そういうところ、本気でイライラします」

ハッキリと言ってくれる友里ちゃんに、苦笑いを浮かべながら「うん」と返す。

俺が真面目に取り合っていないと感じたのか、友里ちゃんは納得いかなそうに眉を寄せた。
不貞腐れている顔が可愛い。