「へぇ。すっかり仲良くなっちゃって」
「そういうわけじゃ……」
「まぁ、私は篠原が嫌な思いしていないならそれでいいんだけど。相手が話題に事欠かない松浦さんなら、色々面白そうだし」

意地の悪い笑みを向ける工藤さんに「完全な興味本位ですよね」と眉を寄せると、「当たり前じゃない」と返される。

でも、こうは言っているけれど心配してくれていたのは本当なんだろう。

松浦さんと私じゃどう考えたって合わないし、今だって、普通にご飯食べたりできるのが自分自身、不思議なくらいだ。

松浦さんは、私の話によく耳を傾けてくれる。どんなつまらない話でも、嫌な顔ひとつしないで、優しく相づちを打ってくれる。

おおらかだから、割とどんなことにでも怒ったりしないし、柔らかい雰囲気は私を認めてくれているみたいで安心できる。

松浦さんは、こんな可愛げのない私でもそのまま受け止めて笑いかけてくれるから、だから私は一緒にいて楽だったんだ。

なにも飾らなくてもよかったから……居心地がよかった。

……だけど。
松浦さんにとって私はただのターゲットだ。しかも、一時の。

それを思い出してしまったから、連絡してこない松浦さんに〝ドタキャン分の食事、いつが都合いいですか?〟とメッセージを送ろうとした手が止まった。

だって、そもそも松浦さんと私は、友達でもなんでもない。