「俺に似てるって、どの俳優……って、これ、動物番組だけど」
「このメキシコオオカミっていうオオカミの目がなんとなく……へぇ、タイリクオオカミの亜種なんですね。ネコ目なのにイヌ科……」
どんどん追加される情報に、なるほど……とぶつぶつ呟いていると、松浦さんが不満そうな声を出す。
「本当に似てる……? まぁ、捕食獣ってとこは否定しないけど」
「肉食ですもんね」
「でも、肉食っていうなら、加賀谷さんだって……」
「え?」
テレビから視線を移すと、松浦さんは、一瞬ハッとした顔をしてから笑顔になる。
ニッコリとした綺麗すぎる笑みに、どうしたんだろうと思っていると、松浦さんはコートに袖を通し、マフラーを手にとる。
「出られる? 行こうか」
「あ、はい。遅くまでお邪魔してしまってすみませんでした」
私もコートを着て荷物を持ち玄関に向かう。
ドアを開けると、ここに来るまでよりも温度を下げた空気が待ち構えていて、コートを着こんでいるっていうのに身体がぶるっと震えてしまう。
十二月の澄んだ夜空に、満月の横をゆっくりと動く光が見える。
飛行機なのかISSなのか、それとも別のなにかなのか。眺めているうちに、松浦さんがロックを確認し終えたので、半歩後ろを歩く。
「さっき、言いかけたのってなんですか? 加賀谷さんがどうのって」
名前が出ていただけに気になって聞くと、松浦さんは「んー?」ととぼけたような声を出したあと教えてくれる。



