「そもそも、私だって選ばれないっていう経験をしてますけど。松浦さんが作ってくれたパスタ完食するくらい元気ですよ。振られたからって全部がなくなるわけじゃありません。
……多少、苦しいけど、そんなのはみんな我慢できてるんだから、松浦さんにだってできますよ」
「一年も引きずってる友里ちゃんに言われてもなぁ」
「元気に引きずってるんです」
柔らかい表情をする松浦さんにホッとして、私も笑みを返していると、なにやら特番が始まったらしく、急にテレビが騒がしくなる。
時計を見れば、もう二十一時だった。
だいぶゆっくりしてしまったことと、あっという間に時間が過ぎたことに驚きながら「そろそろ帰りますね」と言うと、松浦さんが立ち上がる。
「送っていくから、少し待ってて」
「大丈夫ですよ。ここ、駅からそう離れていないですし道順も覚えてますから」
「俺が送っていきたいだけだから。そこは友里ちゃんが折れてよ」
今まで、〝強情〟なんて話をしていたからか、そんな言われ方をされてしまい口と尖らせて黙る。
松浦さんがカップを片づけたり身支度をするのを待ちながら、なんとなくテレビを見ていると、オオカミが映る。どうやら動物番組みたいだった。
「……これ、松浦さんに似てますね」
絶滅危惧種だという説明が入り、どこでもオオカミは希少なんだなぁと考えていると、カップを片づけ終わった松浦さんが、コートを羽織りながらこちらに近づいてくる。



