「本気の恋をして傷ついたあと……選ばれなかったあと。どうすれば立ち直れるのかがわからないのかなと思ったので。
だって、〝一番〟じゃなくなったあと、どうやって気持ちを立て直したらいいのかがわからないから、ゲームみたいな恋愛ばかり繰り返してるってことでしょう?」
今、聞いた話を要約するとそういうことだ。
女の子を傷つけるような恋愛スタイルと、私が接するうちに出来上がった松浦さんのイメージ像は、微妙に重ならなかった。
チグハグさが気持ち悪くて、どうしてだろうと思っていたけれど、今日の話を聞いてそういうことかと納得がいった。
相手の女の子が傷つくかどうかも考える余裕がないくらいに、保身で必死だったんだって。
じっと見ていると、松浦さんは見るからに嘘だとわかるような苦笑いで「違うけど」なんて言うから、ふふっと笑ってしまう。
「みんな、傷ついたり泣いたりしても、ちゃんと自分で傷を癒して過ごしてきたのに、松浦さんにはそれを経験する機会がなかったんですね。下手にモテるのも考え物ですね」
触れずにきたものは、未知だから怖い。それがどんどん大きくなっていってしまったんだろうなぁと考えて、怖がる松浦さんが頭に浮かびおかしくなった。
こんな完璧なのに。仕事だって人付き合いだって上手に上手にこなせるひとなのに。
「松浦さんが傷ついて泣くときは、私がそばにいてあげます」
「……本心は?」
「泣いてる松浦さんとか想像するだけで楽しいです」
「そんなことだろうと思った」
松浦さんは、呆れたような困ったような顔で笑う。
今度の笑みは、なにかを誤魔化すためのものじゃなくて、わざとらしくない普通のものだった。



