松浦さんの口元にはずっと笑みが浮かんだままだけど、告げられる内容に、私はとてもじゃないけれど微笑みを浮かべるなんてできなかった。
こんなに魅力に溢れて女性の心を離さない松浦さんが、たぶん、自分の価値を数字でしか見出せないでいる。昔も……そして今も。
もらえなかった愛情を、成績や結果でしか埋められないでいる。
そうか……。
だから松浦さんは――。
これは悲しい話だと思うのに、どうしてそんな穏やかな顔で話せるんだろう。
そんな思いで見つめる先で、松浦さんは淡々と話す。
「中学入ってからは試験も本格的になったから、常に学年トップ狙いだった。先生も友達も、一位だと〝すげー〟って褒めてくれるし。部活も、活躍して成績を残せばヒーロー扱い。
勉強も部活も結果が目に見えるから、わかりやすかった。だから、恋愛でも……と思った」
「誰かに夢中の女の子を振り向かせられたら、松浦さんのほうが優れてるって証明になるから……ですよね」
松浦さんはただ単に女の子を傷つけて遊んでいたわけではなくて、結果が欲しかったのかと納得していた。
初めて話したときの口調や態度が軽かったから、私はてっきり、女の子の気持ちを弄んで楽しむひどい男なんだと認識してしまっていたけれど、少し違うのかもしれない。
結果的にひどいひとだとは思う。
でも、そうでもしなければ松浦さんの心にあいた穴は塞がらなかったから……自分の足りないものを欲しがることに必死で、相手の傷なんて気づく余裕がなかっただけかもしれない。



