レインが龍の谷の住民となる時、長老と一つ約束を交わしていた。
それは、レインが十九才になるまでは、谷の外へ出ないことだ。
アルは龍の谷の守護者であるため、外へ出ることがあるが、レインは「龍使いの歌姫」であるため、龍の谷の中で、自分の役割をこなしていた。
『……良いだろう。その代わり、一つわしからの頼みじゃ』
「はい」
『お主は龍の谷の外で、歌ってはならない』
長老の言葉の意味が分からず、レインは首を傾げた。
「何故……ですか?」
『お主の歌は、良からぬ者を呼んでしまうからだ』
「……?はい」
良く分からないが、長老が言うならそうなのだろう。
レインは素直に頷く。
「では、私はこれで失礼致します」
長老へと頭を下げると、長老は頷く。レインは祠を出て、ふと姉の言葉を思い出した。
―何があっても、貴女は歌わないで。ね?お願いよレイン―
(……私が歌うことが、何を意味するんだろう?どうして、谷の中では良くて、谷の外では駄目なんだろう?)
何となく、レインはそれを知ることを恐れた。
知ってはいけない。知らない方が良い。頭の中で何かが警告している。
けれども、レインはその理由を求めることを止め、振り払うように走り出した。
『良い子じゃ。……ティアナ。お主の育てた娘は、本当に良い子に育った。そして、レインと同じ髪色を持つアルも、ぶっきらぼうじゃが、優しい子に育ったの』
長老は、孫を思う祖父のような心で、アルを育てた。そしてレインのことも、孫のように思った。
『……ティアナや、レインの師を名乗る者が望むように、この谷で人間と関わることなく暮らせたら良いと、わしも思う」
例え月白国が滅んでも、結界で守られているこの谷は滅びることはない。
だが、全く害がないとは言えないだろうが。
それでも、人間と違って神龍がいなくても困らないのが事実だ。
それは、レインが十九才になるまでは、谷の外へ出ないことだ。
アルは龍の谷の守護者であるため、外へ出ることがあるが、レインは「龍使いの歌姫」であるため、龍の谷の中で、自分の役割をこなしていた。
『……良いだろう。その代わり、一つわしからの頼みじゃ』
「はい」
『お主は龍の谷の外で、歌ってはならない』
長老の言葉の意味が分からず、レインは首を傾げた。
「何故……ですか?」
『お主の歌は、良からぬ者を呼んでしまうからだ』
「……?はい」
良く分からないが、長老が言うならそうなのだろう。
レインは素直に頷く。
「では、私はこれで失礼致します」
長老へと頭を下げると、長老は頷く。レインは祠を出て、ふと姉の言葉を思い出した。
―何があっても、貴女は歌わないで。ね?お願いよレイン―
(……私が歌うことが、何を意味するんだろう?どうして、谷の中では良くて、谷の外では駄目なんだろう?)
何となく、レインはそれを知ることを恐れた。
知ってはいけない。知らない方が良い。頭の中で何かが警告している。
けれども、レインはその理由を求めることを止め、振り払うように走り出した。
『良い子じゃ。……ティアナ。お主の育てた娘は、本当に良い子に育った。そして、レインと同じ髪色を持つアルも、ぶっきらぼうじゃが、優しい子に育ったの』
長老は、孫を思う祖父のような心で、アルを育てた。そしてレインのことも、孫のように思った。
『……ティアナや、レインの師を名乗る者が望むように、この谷で人間と関わることなく暮らせたら良いと、わしも思う」
例え月白国が滅んでも、結界で守られているこの谷は滅びることはない。
だが、全く害がないとは言えないだろうが。
それでも、人間と違って神龍がいなくても困らないのが事実だ。