月曜日、出社して隣のデスクに物がすっかりなくなっているのを見て、ああ、そうだったと思いだす。
朝から元気を失って、ため息とともに鞄を置くと、入ってきた美麗さんも肩を落として意気消沈している。
「遠山ロスだわ……」
普段ポーカーフェイスな美麗さんにこうも落ち込まれると、どんな声を掛けたらいいか悩むな。
「おはようございます。遠山さんとの最後のお別れ、ちゃんとできました?」
「おはよう、仲道さん。あれから遠山さんの部屋行って、ダンボールだらけなの見て泣いたわ。本当にお別れなんて信じられない。遠山さんが男の人だったら、婿にでももらって引き留めるのになぁ」
「あはは」
遠山さんは女の人だからあの性格が生きるんだとは思うけどな。
それよりも、私は美麗さんに話があるのだ。なんとしてもお昼に誘い出さなきゃなんだけど。
「あの……」
「あのさ、仲道さん」
私の声を遮るように声をかけてきたのは瀬川さん。席は向かいなのに、わざわざ島を回って隣にまでやって来た。
「あ、瀬川さん、おはようございます」
会話が始まったことを悟ってか、美麗さんは自分の席へと向かってしまった。
まだ話は終わっていないのに!
焦る私には頓着せず、瀬川さんは空いた遠山さんの席に腰を預ける感じで話し出した。