二日酔いの土曜日と、家事にいそしんだ日曜日を終え、また一週間が始まる。
千利は、冷蔵庫の中身を確認し、「ちゃんと食ってるのかよ」と文句をつけた後、土曜の午後には帰って行った。
どうやら半分は偵察だったようだ。おそらく、母さんに私がまともに生活しているのか見に行けって言われたんだろう。
「おはようございます!」
すっかり調子も戻った月曜日、元気いっぱいに入った私に対して、美麗さんは機嫌が悪そうだった。
「おはよう」
私を一瞥し、感情の無い声で答えて、ふいと目をそらして脇を通り過ぎていった。
なんとなく、美麗さんとの距離も近くなった気がしていたので、そっけなく立ち去られて、親しみで膨らんでいた気持ちはしぼんでいく。
「あー、おはよぉ、百花ちゃん」
落ち込んだ背中にかけられた明るい声は遠山さんのものだ。
「遠山さん、おはようございます」
「今週で引き継ぎラストスパートかけるからね!」
「はい!」
目先の仕事は忙しく、美麗さんのことをいつまでも気にしている余裕なんてなかった。
全部は覚えきれないから、遠山さんの言うことをメモ帳に書き付けていく。
遠山さんはファイリングもしっかりしているので、引継ぎに関しては比較的順調だ。
私も、資料作りに時間はかかるけど、全くできないってわけじゃないから、これに関しては頑張るしかない。