*
午後になると、あさぎくんと阿賀野さんは外出の予定があるらしく出ていった。
美麗さんも相変わらず出たり入ったりを繰り返していて、オフィスには私と遠山さんと瀬川さんが残っている。
「どう? 慣れた?」
相変わらずパソコンとにらめっこしながら資料作りにいそしんでいると、瀬川さんがのぞき込んでくる。
「昨日よりは? まだまだです」
「昨日より良くなってるよ。ミスは減ったもん」
答えるのは遠山さんだ。遠山さんは優しくて朗らかだけど、仕事に関しては結構シビア。でも、けなされてもそれはその部分を直してほしいって伝わる感じの言い方だから、そこまでショックではない。
「遠山さん、もっとダメなところ言ってください。直します。言われなきゃわからないこともあるので」
「おっ、マゾ発言出たなー」
ははは、と瀬川さんが笑う。
と、電話が鳴り、すぐに瀬川さんが受けてくれた。遠山さんは彼には聞こえないように小声で私に耳打ちする。
「……本当は電話取次も百花ちゃんの仕事だからね。ここ二日、瀬川君が積極的にとってくれてるけど。慣れたらちゃんととってね」
「え?」
「まずはこっちをできるようになれってことなんだと思う」
遠山さんが画面を指さして言う。気を使ってもらっていたことに気づいて、私は顔が一気に熱くなった。
そう言われてみれば、電話を受けるのは新人の仕事だ。
午後になると、あさぎくんと阿賀野さんは外出の予定があるらしく出ていった。
美麗さんも相変わらず出たり入ったりを繰り返していて、オフィスには私と遠山さんと瀬川さんが残っている。
「どう? 慣れた?」
相変わらずパソコンとにらめっこしながら資料作りにいそしんでいると、瀬川さんがのぞき込んでくる。
「昨日よりは? まだまだです」
「昨日より良くなってるよ。ミスは減ったもん」
答えるのは遠山さんだ。遠山さんは優しくて朗らかだけど、仕事に関しては結構シビア。でも、けなされてもそれはその部分を直してほしいって伝わる感じの言い方だから、そこまでショックではない。
「遠山さん、もっとダメなところ言ってください。直します。言われなきゃわからないこともあるので」
「おっ、マゾ発言出たなー」
ははは、と瀬川さんが笑う。
と、電話が鳴り、すぐに瀬川さんが受けてくれた。遠山さんは彼には聞こえないように小声で私に耳打ちする。
「……本当は電話取次も百花ちゃんの仕事だからね。ここ二日、瀬川君が積極的にとってくれてるけど。慣れたらちゃんととってね」
「え?」
「まずはこっちをできるようになれってことなんだと思う」
遠山さんが画面を指さして言う。気を使ってもらっていたことに気づいて、私は顔が一気に熱くなった。
そう言われてみれば、電話を受けるのは新人の仕事だ。



