「えっとぉ。じゃあ、今度は仕事の内容について教えるねぇ。仲道さんパソコンできるよね。支給のパソコン、OSが一つ古いんだけど、まあ問題なく動くから」
「……はい」
フロアに入ってからも、ずっと人の視線を感じるし、ひそひそと話す声も聞こえてくる。
私はいたたまれない気持ちのまま、遠山さんの隣の椅子に座った。
今、この部署にいるのは私たちのほかには、瀬川さんひとりだけ。島の向こう側で、一心不乱にキーボードを打っている。美麗さんはどこかに行ってしまったようだ。
沈んだ私を置いていくように、目の前のノートパソコンは、迷いもなく起動画面からホーム画面へと切り替わる。
「メールアカウントは昨日設定してあるから。これね。それで……」
せっかく説明してくれてるのに、うまく頭に入ってこない。
やばいな、ただでさえ、言うほどコンピューターに詳しいわけでもないのに。
遠山さんは戸棚から太いファイルを取ってきて、開いて見せる。
「私が過去に作った資料は大体ここに残っているから、これを参考にしてね。さっきも言った通り、この部署の仕事は土地開発なの。うちの持っているマンションの最寄り駅周辺の土地全体を盛り立てて、人の行き来のある街にしてこうっていうコンセプト。駅前に空き店舗があれば、活用支援をしたり、買い取って元手はないけど店を持ちたいって人に安価で貸したり。それをするにあたっての、対象者への説明資料の作成や、役所とか銀行とのやり取りの支援をするのが私たちの主な仕事になります」
「はい」