私は、今自分が置かれている状況に納得がいかない。

二歳年下の弟が、頑固おやじのように眉間にしわを寄せて、「なにやってんだよ」と怒りをあらわにし、正座をした私とあさぎくんは神妙にかしこまる。

いや、でもさぁ。私はもう二十二歳の大人だし、誰と付き合おうが誰を家に泊めようが文句を言われる筋合いはないと思うんだけど。
しかも、親にならともかく、今目の前で怒ってるの弟ですし、酔ってますし。
むしろ怒るの私のほうじゃない?

「あのね、千利。泊りに来てもいいけど、ちゃんと事前に言っておいてよ」

「ちゃんとメール書いたって。見てないのモモじゃん」

「返事がなきゃ了承されたって思わないでよ」

「ついこの間までいつ来たっていいって言ってただろ」

ああ言ったよ。でもさその時は彼氏がいなかったんだもん。仕方ないじゃん。

「この間と今は状況が違うの!」

「そんな短期間なのにもう泊まり込む間柄なわけ? モモがそんなに尻軽だなんて思わなかったよ」

「尻軽ってなによ! いくら千利でも言っていいことと悪いことがあるよ!」

本格的なケンカに移行しそうな私たちをなだめるのはあさぎくん。

「二人とも落ち着いて。ちょっと俺にも話をさせてくれないかな」

私と千利の間にあるローテーブルには酔い覚ましにとあげたお水がある。千利はグラスに口すらつけていない。

あさぎくんは、まだ不機嫌なままの千利に頭を下げた。