女性との付き合いが無理だと感じたのは、大学に入ってからだ。
告白されて付き合ったのは、少しモモちゃんと面影が似た元気で素直そうな女の子。

友達からという話だったから、図書館で一緒に勉強したり、遊びに行ったり、夜はアパートまで送り届けて、寝る前に電話もした。
いつも彼女が笑っていられるようにと気を使っていたつもりだったけれど。


『浅黄君にとって、私ってなんなの?』


いつしか、彼女の顔から笑顔が消えていた。


『付き合って、もう半年だよ。どうして部屋に上がろうとさえしないの』


性的な行動を、当時の俺はできる限り避けていた。欲求がないわけではないけれど、タガが外れてしまうのが怖くて。


『それは、……大事にしたいし』

『大事にしたいって思ってるなら、……今日は泊っていって』


ごくりと飲み込んだ生唾は、欲求を飲み込んでというよりは、怯えのほうが近かったような気がする。

男女である以上、体を繋ぐことはやはり避けられない行為で。であればきちんと避妊をすれば問題ない。
頭では分かっていたし、そういった行為への知識はある。

彼女を組み敷いて、体の下で鳴かせてみれば、男だから征服欲も湧いてくる。
なのに、好きな人を抱きしめる行為に、溺れきれない。