千一夜物語

団子屋に入った澪は、六郎と共に縁台に座って再会を喜んだ。


「良かった!まだこの辺に居たんだね!」


「お姫さんこそ元気そうで良かったなあ。で、会ったこともない旦那とは会えたのかい?」


「うん会えたよ。とってもいい方でね、手も出さないし優しい方で良かった」


「へえ、そりゃよかったな。お姫さん、俺しばらくこの辺で仕事することになったから、また会えたら話してくれるかい?」


「うん、私も六郎さんとお話したいからいいよ」


澪が足をぶらぶらさせながら団子を頬張っている間、六郎はからから笑いながら茶を口に運んだ。

その時六郎の右腕に包帯が巻かれているのを見た澪は、それを指して問うた。


「どうしたの?怪我?」


「あー、うんちょっとな。おかげでそろそろ替えねえと」


「?何を替えるの?」


――その時殺気を感じた澪が通りに目をやると、牙がものすごい勢いでこっちに向かって来ていた。

六郎に牙を紹介しようと思って隣を見た時にはすでに六郎の姿はなく、目の前まで来た牙にがみがみ叱られた。


「なーにやってんだ!目の届く位置に居ろって言っただろー!?」


「あの、知り合いが居たの。牙さんに紹介しようと思ったんだけど居なくなっちゃった」


「なんでこっち来たばっかなのに知り合いが居るんだよ。怪しいっつーの!ほら、もう帰るぞ!」


牙に手を引っ張られて強引に浮浪町に連れ帰られたが――六郎との再会は澪にとってはとても嬉しいことで、帰るとすぐにそれを黒縫に聞かせた。


平安町に行けばまた六郎に会えるかもしれない――

また黎にお願いして遊びに行かせてもらおうかな、と黒縫に話してふたり風呂に向かった。