だからこそ、大切にする気持ちを忘れないんだ。
とことん本当にかっこいい人だ。
この世界に迷い込んでこんな素敵な人に出会えて、私はもしかしたら運がいいのかもしれない。
でもガザンが言った言葉に、私はようやく理解する。
最初にアルスに言われた『帰りたいと思う気持ち』が、濁っている。
「ねえアルス、私見つけちゃった」
「え?」
「私の落し物。でも、落し物は最初から自分の中にあった」
頬を擦り付けるようにアルスに甘えるけれど、自然と涙が滲む。
「私、自分に自信がなかった。毎日何気なく生きてはいたけど、周りと比べては自分に自信を無くして、壁を作ってた」
「そっか」
「でもアルスと出会ってこうやって小さな旅をして、落とした気持ちを拾い上げれた」
ガザンにも伝えた言葉は、私自身にも言えること。
間違ってもいい、自分の進むべき道を信じて前へ進めばいい。



