するとゆっくりと走り出した汽車に、思わず声が出てしまった。


窓から見える景色がみるみるうちに変わっていく。


こんなに何かにワクワクドキドキしたのは、いつぶりだろうか。


素直に楽しんでる自分に笑ってしまう。



「何か面白いものでもあった?」


「久々のこのドキドキに対して素直に楽しんでる自分に笑っちゃったんです」


「窓から顔出しすぎて落ちないようにね」



子供を宥めるようなそんな言い方に少し恥ずかしくなりながらも、汽車の外をじっと眺めた。


そう言えばこの汽車は一体どこへ向かうんだろう。


落し物を探す旅とは言え、行く宛があるのだろうか。



「アルス、今日はどこへ向かってるの?」


「隣街。小さな街だけど、すごくいい場所なんだ」



自慢げに話すアルスも、どことなく楽しそうだ。


走る汽車とこれから待っている街に、私の心は弾んだ。